モンチッチ

Anju Kuroda

黒田 安寿

私の宝物は、幼稚園のときに祖父母の家で見つけたモンチッチです。

祖父母の家には物置部屋があり、そこには使わなくなった家具や、引き出物のお皿、買い置きの調味料なんかが置いてあって、私にとっては秘密基地みたいでワクワクする場所でした。

いつもみたいに物置を探索していると、プラスチックの箱いっぱいに人形が入っているのを見つけました。 箱にはミッキーやら、女の子のお人形やらがいましたが、その中におさるのお人形があるのを見つけて、運命を感じました。

私は、その頃ちょうど『小公女』という絵本にはまっていて、主人公の女の子が小さいおさると一緒に過ごす姿に、とても憧れていたからです。私は、おさると一緒に住みたくてしょうがありませんでした。

おさるには片目がなくて、祖母が「他のにしたら?」と言ってくれましたが、私はおさるを持ち帰ることに決めました。

そこからは、念願のおさるとの生活が始まりました。

毎日、どこへ行くにも持ち歩いて(ミスドのクジで当たったポシェットに入れていました)、ご飯もあげて、一緒に眠りました。

友達に、おさるの目がないことを気持ち悪がられて「直そうか?」と言ってもらったこともありましたが、私にとっては、それも含めてなんか全部可愛かったのでそのままにしました。

おさるは、今も自分にとってすごく大事な存在、というか念がこもりすぎて、捨てるならお祓いに行かないといけないけど、めんどくさいので、死ぬ時についでに棺に入れてもらおうと思っています。