断捨離の生き残り

Konomi Saeki

佐伯 好美

私には、一人暮らしを始めてから自覚したひどい癖がある。それは、少しでも必要性を感じなくなったらなんでも捨てたがるという癖だ。ここで「こんなものまで…」と画像で提示したくて過去のフォルダを色々探したが、私の過度の断捨離癖は写真・音楽等のデータにも適応されるので過去に捨てたものにまつわるものはほとんど何も残っていなかった。

しかし、偶然私が捨て忘れたものがある。それが今回展示した赤い手帳だ。この手帳は高校2年の3学期から高校卒業までずっと使っていたものだ。私はここ数年間、この手帳を見つけるたびに「捨てなきゃな〜」と思いつつ毎回読み耽っていた。高校時代の楽しい出来事から恨みまで新鮮な状態で記されているのでかなり味わい深いのだ。いつ見ても字が汚い。

高2の私はテスト期間のど真ん中にUSJに行っていたらしい。別に頭は良くないし日頃ちゃんと勉強するタイプでもなかったので成績に大火傷を負ったことだけ覚えている。なぜ誰も止めてくれなかったのだろうか。

そしてマラソンがよほど嫌だったらしい。確かこの年のマラソンでは「一緒に走ろう!」と声をかけてきた女にスタート直後に置いて行かれて結局一人で走った気がする。ああいう人間を信用したら痛い目を見るという教訓として今も覚えている。

模試がすごく嫌だったんだろうな。このページを見るたびに受験期の三者面談のことを思い出す。模試の結果がずっと最悪で毎回通夜みたいな空気だった。昔苦労したことの辛さを思い出しては「そうでもないだろ」と思うことが多々あるが大学受験だけは今の自分でも辛い。

また受験期の書き込みが出てきた。ちゃんと必着であることを見越して出願できて偉い。出願書類は基本的にボールペン手書き文字だったので記入している間生きた心地がしなかった。しかし、ちゃんと受かって今ここにいるのでこの時の私は安心してほしい。

恐らくこの手帳は、写真や連絡先の類をほとんど消してしまった私に残された唯一の思い出に浸る手段である。辛い思い出の方が多くて今もダメージを受けているが、それでもまた読み返してしまうのだろう。