捨てられない手紙

Sato Yura

佐藤 侑来


今までの人生において貰った手紙をどれほど手元に残していますか。

私は年度末などに友人に貰った手紙やちょっとしたメモ等は処分するようにしていました。 幼ければ幼いときほど細かなことで手紙を送り合っていた為、適度に処分しなければ手紙が溢れてしまっていたからです。

「手放す事が出来なかった手紙」は両手で数えられるほど,その中でも
「今後も処分することはない手紙」が私の宝物であると思って今回展示しました。

今まで貰った手紙の中で最も救われた手紙。

貰った当時の事を思い出せないほど辛い時期に幼馴染の母親がくれました。
今でも辛い事があれば読み返してこの当時よりも今がマシだと思い出す為に残しています。

小学6年生、林間学校でたまたま同班になった保育園の同級生から貰った手紙。

私自身、申し訳ないことに保育園の同級生の事を全く覚えていませんでした。
それでも学期ごとに手紙をくれた小学生特有のシールなどで可愛らしく飾られた手紙が好きで残しています。

高校の写真部の友人がくれた手紙。

私の誕生日当日いつもの待ち合わせの場所に友人がおらず、 しょんぼりして学校へ向かうと予鈴ギリギリにお菓子のロボットを抱き抱えて教室に来てくれました。
お菓子のロボットなんて貰ったことがなかったし、とても嬉しかったです。
その当時を忘れない為に手紙を残しています。

別の写真部の友人がくれた手紙。

手紙をくれた友人は部長に委員長とみんなのお姉さん的存在でした。
そんな友人の書く文字と文が本当に好きでよくノートや部活動日誌を見せて貰っていました。
今でもよく読み返しており、それくらい彼女の書く字が好きです。

母親からもらった手紙。

この手紙を貰った当時は進学先に悩んでいました。
正直この手紙を受け取った時は母親からの手紙なんて初めてだったから
「嬉しい」という気持ちと 最後の一文に対して「んなこた言われたかない」という反骨心もあり、
その当時の気持ちを忘れない為に残しています。


今回、他の今までに貰った手紙を探しながら、
懐かしい思い出に浸る事が出来ました。

もしこの展示を見た人が今手元にある手紙を読み返して
「それぞれの思い出」に浸るきっかけくらいにはなればいいと思っています。