仕贈り
大学生になり一人暮らしを始めてから、祖父母からの仕送りが届くようになりました。
私の宝物は、段ボールの中にぎっしりと詰められた食品と、その中にひっそりと入っている封筒です。
中学生になり部活動を始めるまでは、夏休み、冬休み、春休み、GW…と長期休みは祖父母の家にずっと預けられていました。つまり一年のうち、3〜4ヶ月は祖父母の家で暮らしていたわけです。
しかし、当時の私は祖父母の家に行くのが好きではありませんでした。
知り合いはいないし、勝手に出歩くこともできない祖父母の家は、友達とたくさん遊びたい年頃の子供にとっては窮屈だったのです。
その反動からでしょうか。
中学生では部活動が忙しいから、高校生になった時は課題が多くて大変だから、大学生になってからは制作やアルバイト、そして距離が遠いからと、たくさんの言い訳をつけて祖父母に会いに行かなくなりました。
大学生になり、一人暮らしを始めると祖父母から仕送りが届くようになりました。
その中にはいつもメッセージが添えられており、その言葉に胸がいっぱいになったのを覚えています。
一人暮らしを始めて、少し大人に近づいて、やっと祖父母がどんな気持ちで私を想ってくれていたのかに気づくことができました。遅すぎるかもしれませんが、幼い時に一緒に過ごした時間が長すぎて、そのことが当たり前のように感じてしまっていたのかもしれません。
ここまでの話でなんとなく察している方もいるかもしれませんが、恥ずかしながら、私は決して良い孫ではありません。
この展示をきっかけに、一度祖父母に仕送り返しをしようと思ったのですが、何を送れば良いのか、祖父母が何が好きなのか、全く思い浮かびませんでした。頭を捻りに捻って、ようやく思い浮かんだのは、私が直接会いに行くということ。我ながら本当に呆れるほどの結論ですが、それが一番良いとも確信を持っています。
近いうちに、段ボールには入りきらないほどの土産話を持って、会いに行きたいと思います。