先輩の熱、私の憧憬

Taguchi Yuna

田口 結菜

私の青春を語るには、ある人物の存在が必要です。
中学一年生の時、美術室で出会った一人の先輩。

彼女のスケッチブックはいつもボロボロで、パレットは絵の具で汚れていて、それがとてもかっこよく見えました。
彼女が描く絵が魅力的で大好きだったからです。

彼女に出会ってから自意識過剰で傲慢だった自分を恥じ、自戒を込めて絵を描くことに向き合いました。
憧れの先輩のように描きたいと思っていました。

それから月日が経ち、中学三年生の時、先輩を理由に進路を決めました。
世間的には不純な理由かもしれません。
でも私は先輩の絵を見たい、先輩と絵を描きたい、と純粋に思って進路を決めました。
そしてこのスケッチブックが私の受験時代を支えていました。
このスケッチブックは先輩が中学を卒業する時に美術室に残していったものです。
先輩は私に処分してほしいと言っていましたが、そんなことできるはずもなく、
私は今まで大切にこのスケッチブックを保管していました。

何も知らない人が見たらただの古びたスケッチブックですが、
私にとっては先輩の熱がこもった、私の憧憬の対象です。

そして私はこれからもこのスケッチブックとともに絵を描き続けるでしょう。