おばあちゃんたちのお下がり

Ataka Risa

安宅 理彩

私の宝物は、父方のおばちゃんにもらったブローチと、母方のおばあちゃんからもらったコートです。

これまでに2人のおばあちゃんは、たくさんの洋服やアクセサリーをお下がりとしてくれて、私を可愛がってくれました。
家に遊びに行った時に「きっと似合うから、」と箪笥から引っ張り出してくれたものや、着ている服を私が「かわいい!」と言ったらそのままくれたもの、そして、形見分けで譲り受けたもの。

貰ったものやタイミングはさまざまで、それらは私にとってどれも大切だけど、このブローチとコートは別格です。

緑とオレンジが組み込まれた上品なコートの生地と、
黄緑とオレンジに輝く煌びやかなブローチの相性がとても良く、
まるで仲の良かったおばあちゃん達のようで気に入っています。

家同士が近かったおばあちゃん達は、駄菓子屋をしている母方のおばあちゃんの店先で、よくおしゃべりをしていたね。
大好きなおばあちゃん2人に囲まれてお菓子を食べていたあの時間が、今の私にとってかけがえのない思い出です。



冬の朝、自信を持ちたい日や気合を入れたい日に、私はこのコートとブローチを身につけます。

レトロで大人びた雰囲気と大好きなおばあちゃん達が私の背中をそっと押してくれて、 背筋がスッと伸びて胸を張っていられる気がするから。

次の冬にはもっとおばあちゃんたちのコートとブローチが似合う、立派な大人に近づいた姿を見せれたらいいな。

また会いに行くよ。