Home
実家は北海道の小さな町。4人きょうだいの末っ子として育った私は、年々家の中から人が減っていく静けさに、少しの寂しさを覚えていた。
地下室があり、窓がたくさんある高い家。いつでも広い空が見え、街を見下ろすことができた。毎日眺めていたあの風景は、今も記憶の奥に色鮮やかに残っている。
部屋の壁、軋む階段、窓の外に広がる畑や空の色。何気ない日常のひとつひとつが、あとから思い返すと宝物のように感じられる。
いつかは空っぽになるのかもしれない家だけど、あの頃の「Home」が確かに存在していた証を今この展示に残しておきたい。形は失われても、記憶の中の風景は、これからもずっと私の中で生き続けるのだろう。