10年が詰まった味

Shibata Yu

柴田 由宇

自分が大人になったな、と感じた瞬間はいつでしょうか?
私は20歳の誕生日に、この梅酒を口にした時でした。
これは私が10歳の時に作った、実に今年で12年物になる梅酒です。私が小学生〜中学生の頃、実家では、毎年梅雨の時期に母が梅酒や梅シロップ、梅干しを作っており、 私は妹と一緒に梅のヘタとりや瓶詰めを手伝っていました。

当時、お子さまだった私は、果実が入っている飲み物に対しての物珍しさと作るのを手伝ったことにより湧いた愛着から、自家製の梅酒を飲むことに対して強烈な憧れを持っていました。

そんな私が小学4年生の時に、お酒が飲めるようになった時に特別な梅酒が飲めるように、今年は20歳の私に向けて10年物を作ろう!と母が提案してくれたのです。

その後は毎年誕生日が来るたびに、あと8年したら飲める、あと3年したら…と瓶の中の梅が年々シワシワになっていく様子を見てワクワクしていました。自分が最初に飲むお酒は絶対この梅酒にする!!と決めていました。ちなみに、梅の花言葉のひとつに、「忍耐」があるそうです。

そして20歳の誕生日。久しぶりに帰省した実家で10年ぶりに瓶を開け、まずは香りを確認。そしていざ一口!この瞬間に、私、大人になったんだな〜!と実感しました。お店や市販の梅酒も飲んでみて、美味しい梅酒はたくさんあるけれど、大人への憧れと10年分のワクワクが詰まったこの梅酒にしかない味をずっと覚えていたいなと思います。

ちなみに、4歳離れた妹の時は直筆メッセージ付きになっています。
母より、「最初に由宇の時にも思いついていればよかった、ごめん!🙏」とのこと。当時だったら、「ずるい〜!!私もやりたかった!」と拗ねていたかもしれないけれど、今はそんなこと思いませんよ、私はもう、梅酒が飲めるオトナなので。