ヒーローをえがいた日

Takahashi Harua

高橋 花碧

みなさんは、人生の中で「ヒーロー」に出会ったことはありますか?
私にとってのヒーローは、幼いころからずっとアンパンマンでした。
同じく幼いころアンパンマンに憧れて、大好きになった方も多いのではないでしょうか。
3歳の私がアンパンマンに向けた気持ちを、当時の絵とともに紹介できたらと思います。

私は物心ついた頃から、アンパンマンとおえかきと工作が大好きな子どもでした。
毎週アンパンマンはリアルタイムで観て、そうでない日もDVDを見たり、それを絵に描いたりして過ごしていました。
そんなある日、3歳の私は、いつものようにアンパンマンをたくさん描いている中で、突然「ものすごく上手なアンパンマン」が描けたんです。
色の分け方、パーツごとの線、塗りの丁寧さ……どう見てもこれはアンパンマンだ!
ピンとこないかもしれませんが、3歳のおえかきで1〜2色で顔っぽいものが描けたら十分すごいと思っています。
それがこんなにちゃんと描けるなんて、なんという観察眼!

その再現度の高さに驚いた母が、わざわざ額を用意して絵を飾ってくれました。
やっぱりこのアンパンマンは、めちゃくちゃ上手に描けていたらしい!やったー!
それから私が大きくなるまで、ずっとその絵を飾ってくれていました。
年齢を重ねて、落ち込むことがあっても、「やっぱりこのアンパンマン、めちゃくちゃ上手いな〜」と、過去の自分の絵に元気をもらっていました。
そんな3歳の絵を擦りまくるのもおかしいかもしれませんが、あの時の憧れと強いまなざしを持てたからこそ、今こうしてデザイナーの道を歩んでいるのだと思っています。

今でも、毎週金曜日はアンパンマンをリアルタイムで観るのが習慣です。
毎週顔が濡れちゃうけど、それでもめげずに戦う。
いつも優しくてどんな人にも手を差し伸べる、あたたかいヒーロー。
絵を描いたあの頃と同じまなざしで、今も彼を見つめています。
あなたには、ついまなざしを向けてしまう「ヒーロー」はいますか?