まだ在る、24色

Uchiyama Hazuki

内山 葉月

両親が買ってくれた、多分2歳くらいの時には持ってた、24色セットの色鉛筆。
今の私があるのは、きっとこの色鉛筆たちのおかげだ。

缶のケースにはシナモロールと仲間たちが描かれていて、
開くとずらっと並んでいる24色には、何度見ても心躍った。

実家を出る時に、ケースを手放してしまったが、
今回の展示で、捨ててしまったケースと同じ色のペンキを探して、
色鉛筆たちの新しい居場所を作った。

そして、さすがに20年近く使っているので、見ると自ずと昔の記憶も蘇る。
色鉛筆と共に、思い出もそこに在る。
絵の具を知るより前、私の世界は24色だった。

一番最初になくなったのは、こげ茶色。

輪郭線を黒じゃなく茶色で描くと、柔らかい雰囲気になると気づいた時、
私は本気で「世紀の大発見をした」と思った。

私はこげ茶色を使って、消しゴムも使わず、
オリジナルキャラクターの「うさぎのうさこちゃん」を本当にたくさん描いた。
2足歩行のよくあるキャラクターであるが。
12枚の季節の絵でカレンダーも作ったし、自由帳を切って貼って、
小さな絵本も作った。 全て創作の新聞も作った。

保育園でも、小学校に上がっても、誰に見せるわけでもなく、 ひたすら描いた。
ただ楽しくて、描きたかった。
大学受験の作品集にも、この色鉛筆を使った。

そして、少しずつ使わなくなっていった。



けれど、きっとまた次の家にも持っていくんだろう。
使わないかもしれない。
でも、やっぱり私にとって、近くにあるものなんだ。



色鉛筆って、救急箱みたいだと思う。
あまり使わないけど、当たり前に家に在る存在。

時々思い出す。

絵を描くことがただ楽しかった、あの頃。
次々に創作を生み出していた、あの頃の私。


今の私も、負けていられない。